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Arduino編

その10 プラ板でブラケット作成に挑戦する!


 前章でサーボモータSG90をArduinoでキュイキュイと動かす事が出来ました。ではこのサーボモータで何をしようか?という話になる訳です。で、あれこれ考えましたが、やっぱり王道はロボットじゃないでしょうかと!関節制御してぎゅいぎゅい歩かせるのが男の子のロマンなのです (>_<)/。しかし、どんなロボットにも骨組みとなるフレームがあるのですが、私はあいにくプラモデルなどのハードウェアなホビーをやってこなかった駄目な子で、そういうフレームを作る技術を全然持ち合わせていません。ろ、ロマンは幻想…orz

 いや、だからこそ挑戦してみるのが楽しいのです。何をどうしたら良いかはわかりませんが、今の世の中には頼もしいGoogle先生がいらっしゃいます。地道な調査で道はきっと開けるはず!

 そこでこの章では、まずサーボモータSG90用の「ブラケット」を作り、はめてみる事にします。当たって砕けて成長だ!



@ サーボモータ用のブラケット

 世の中の色々なロボット作成サイトを調べて見ると、みんな「ブラケット」という器具をサーボモータに付けて関節化しているのがわかりました。ブラケット(Bracket)とは部品同士を結合させるための部品です。Google先生で「サーボモータ ブラケット」で画像検索を掛けると山のように出てきます。要は、サーボモータにくっつけて、サーボモータの軸回転に合わせて動く「関節」です。

 世の中にはそれを自作している人も沢山いらっしゃるのですが、皆さん「アルミ板を切って曲げて穴開けて…」と何か違う世界の技術を駆使して凄まじくしっかりとした物を作成されています。そ、そんな技術…私は微塵も持っていません…orz。限られた特殊スキルを持った人ではなく、普通の人が普通にロボット的な物を作るには、身近に手に入る素材で工夫するしかないのです。

 で、私でも扱える素材で何かブラケットになれそうな物は無いか…?色々探した結果「プラ板」が候補に上がりました。プラ板はホビーショップや東急ハンズで手軽に安価で手に入り、そこそこの硬さがあるのにカッターで切りだしができる。手回しドリルで穴も開く。そして、温めると曲がるらしいぞと!お〜、何か形が出来そうな気がする素材です。でも使った事はありません。まずは、材料を手に入れて色々実験してみます。



A プラ板検証「切る」

 東急ハンズで厚み1mmのプラ板を1枚買ってきました。結構大きいのに1枚220円、安い!(^-^)。下敷きをうんとしっかり硬くしたような素材です:

まずは、このプラ板の短辺を幅は15mmで短冊状に切ってみます。それには金属製の定規が必要です。カッターを充てる為プラスチック製の定規だと定規自体を切ってしまいます。幅15mmの所に平行に定規を当てて…、

定規に沿ってカッターで切れ込みを入れます。力を入れ過ぎずに4〜5回程傷を付ける感じです。そうすると、厚みの半分くらいまで傷が入ります。そうしたら、傷を開くように折り曲げます。すると、

パキッっと綺麗に切り離されました。まぁ、とても簡単(^-^)。これでまっすぐ切る事はできるようになりました。次はこの短冊を曲げます!



B プラ板検証「曲げる」

 短冊状のプラ板から長方形な板を切り出しそれを貼り付ければ箱のような物は作れそうですが、貼り付けだとどうしても接着部分が弱くなる印象があります。負荷のかかるロボットとしてそれは強度面で心配です。出来れば短冊状のプラ板を曲げて1枚繋がりの状態にしたい所です。

 プラ板を曲げるためには、曲げる箇所を加熱するのだそうです。そのためには、局所的に熱くなる何かが必要です。これについて色々調べてみると、ニクロム線に電気を流す仕組みを自作して曲げている幾人かの方のサイトを見つけました。確かにニクロム線は電気を流すと熱くなります。ただ、サイトの方々は皆大きめな物を曲げるためなのか、ちょっとした回路とガラス繊維なチューブを使うなど凝った作りをされていました。あまり特殊な事をすると敷居が高くなってしまいますので正直やりたくはありません。「どうしようかなぁ…」とあれこれ思案して「あ!」っと思い付きました。ニクロム線に電気を流す物って世の中にもうあるではないですか。「発泡スチロールカッター」です(^-^)。

 東急ハンズの発泡スチロールコーナーにいくと、いくつか発泡スチロールカッターが売っていました。値段はかなりピン切りで、良い物は6000円位、一番安いので600円でした。6000円の物は家庭用のコンセントにACアダプタを挿して電源とする本格タイプなのに対し、600円のは単2電池1本で済むものでした。実験ですからもちろん600円のを購入〜:

乾電池にニクロム線を直付けという、これ以上ないくらいシンプルな仕組みのカッターです。薄い発泡スチロール板を切る用のカッターですね。ニクロム線の長さは約30mm。先程の短冊は15mmなので十分です。

 これを短冊に当てて、手元の電源を入れてみます:

5〜10秒くらいでニクロム線が過熱し、プラ板にちょっとめり込んでいきました。よし、曲げてみます!

おしぃ〜 orz。うまく曲がったと思ったのですが、外側が裂けてしまいました。原因は加熱不足。んじゃ、もっとしっかりと20秒くらい加熱して再チャレンジ:

おーーー!今度は裂ける事無くしっかり曲がりました!いけるじゃーん、凄くお手軽に曲がるじゃないですかー(^-^)/。コツはプラ板の半分近くまでしっかりめり込ませる事にあるみたいです。そうすると曲げの内側に切れ目が入るような感じにはなるのですが、切れ目は溶けているので曲げるとそこが埋まり、むしろ曲がった状態のしっかりとしたプラスチックになりました。これは大きな収穫です。曲げられるという事は3次元な形を作れるという事で、ブラケット的な物も形として出来るという事になります。

 プラ板はだいたい160度くらいに融点があるそうです。一方発泡スチロールカッターの温度は170度〜200度くらいだそうで、ちょっと熱過ぎるかもしれません。でも、プラ板が焦げる事はなさそうだし、何せお手軽。これは良いツールを手に入れました(^-^)



C プラ板検証「穴をあける」

 次はプラ板に穴をあけてみます。そのために手回しのドリルと刃を東急ハンズで買ってきました:

ドリルが1650円で刃が400円くらい。安い(^-^)。刃は木工・樹脂用ドリル刃で径は2mmです。この刃をドリルの先に取り付けて手回しするとお手軽に穴をあけられます。この刃は先が鋭利に尖っているので、穴をあけたい中心点を針などでくぼませておくと正確に穴開けができます:


2mmもこの大きさで写る…カメラの解像度の勝利(^-^)

これを先程の短冊プラ板に当てて、くりくりくりくりっとすると…:

綺麗に穴が開きました。左下は開けた所を拡大したものです。角がビシッと立った穴で気持ちいい〜(^-^)。これでネジ止めができますし、別の軸を通す事もできます。

 切る、曲げる、穴をあけるという事がいずれも出来ました。では、サーボモータに付けるブラケットの設計図を描いての工作本番、いってみましょう〜。



D SG90の寸法

 SG90のカタログが見当たらなかったので、採寸して作図してみました:


拡大図はイメージをクリック


上部の突起部分が軸回転するギアで、ここにサーボホーンがくっつきます(右図)。



E ブラケット構想

 さて、市販されているブラケットは上のサーボモータを包むような箱型が多く見受けられました。そこで、まずは軸に固定し一緒に軸回転する箱を作ります。設計図は下のような感じになりました:


拡大図はイメージをクリック

 設計図描くのって凄く大変…(^-^;。実際これは試作の最終案なのですが、ここに辿りつくまでに何度も何度も描き直し、物を作って失敗を繰り返しました。

 作る箱は青色で区別しています。サーボモータの軸には付属のサーボホーンを取りつけますが、そのままだと長すぎるので先を3mm程度切り取ります。箱の大きさは19×33.5mmですが、展開する際にはプラ板の厚み1mmを考慮する必要があります。また2箇所ある折り曲げ部分は、その曲げ分の余白が必要です。上の展開図の曲げる箇所にある細〜い隙間がそれです。これが無いと曲げた時に長さが詰まって短くなってしまい、サーボモータの寸法と合わなくなります。
 
 軸(サーボホーン)と箱とは2箇所でネジ止めします。1箇所だとクルクル回ってしまい軸の力がちゃんと箱に伝わりません。元々軸とサーボホーンをがっちり固定するネジが付属していたのですが、上の設計にするとそのネジではちょっと短過ぎたので、直径2mmで長さが5mm程度のネジを買って来る事にしました。図にあるようにネジの一つには挟むようにナット(穴の直径2mm)を締める必要もあります。ちょっと問題は軸の反対側のビス。これはネジではなくてちゃんとした軸となるビスで、直径2mmで長さが3mmであって欲しいんです。そういう物が売っているかどうかが心配…。無い場合は何とか別案を考えて作るしかありません。さらに、サーボモータ側にも直径2mmの穴を開けないと取り付けられません。幸いGS90の上の箇所には内部に隙間があるので、穴をあける事はできます。

 より大変なのはサーボモータを別の部品に取り付ける為の、がっちりと固定して動かないブラケットです。上のサーボモータは基本的に直方体で、これに固定した物を取りつけるには少なくとも直方体をぴったりと包まないといけません。しかも、他のパーツと連結する為のネジを取りつける箇所(スペース)も必要です。う〜ん、今ほど3Dプリンタが欲しいと思う事はありません(-_-;

 あれこれう〜んと考えて、結局次のような方法に落ち着きました:


拡大図はイメージをクリック

 2枚の板を切り出して、それをクロスするように貼り合わせる方式にしました。プラ板用の接着剤はプラ板自体を少し溶かしてくっつけるそうで、面が広ければ強度は相当な物になると判断しました。細い板の両端は90度に曲げて鉤爪状にします。また小さいプラ板を2枚用意し、サーボモータと箱の間の隙間を埋めるようにそれを貼り付けます(右図)。これでモータが固定されます。

 以上の設計図に従い、実際にプラ板を切り出しして穴をあけて曲げて貼り合わせてと、今自分が出来るスキルで何とか作ったブラケットがこちら:

これ1個作るのに犠牲にしたプラ板の短冊は数限りなく…orz。でも、どうにかうまくいきました。以下は実際に動かしている動画です:

 結局軸となるビスは見当たらなかったのですが、そのものずばり直径2mmのプラスチック丸棒が売っていました:

1本の長さが約26cmで、それが5本入っていました。今回はそれを4mmくらい切ってブラケットに通した後、、一緒に買ってきたプラモデル用の接着剤で固着させました。接着剤はちゃんと乾燥させると随分しっかりとくっつくもんなんですね。…にしてもこの素材、使い切れないねぇ(^-^;

 手作り感たっぷりでまだ試作と言えば試作ですが、何とかブラケットができました。実際ブラケットを引っ張ったりひねったりしてみたのですが、案外しっかりしていました。これならブラケットに開けた穴にネジ止めする事で他のパーツをくっつける事もできそうです。同じ物を6個作成して、それらを連結すれば6軸ロボットアームにもなりますね。まぁ…プラ板じゃもたないでしょうけども(^-^;。近しい目標としているのは4足で歩行するロボットで、その為には少なくとも足1本につきサーボモータが3個必要かもと想定しています(足の付け根前後、足の付け根左右、膝関節上下)。次はその辺りの準備をしてみようかな。