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根っこ堀り堀り

その2 発光ダイオード(LED)


 根っこ堀り堀りその2は「発光ダイオード」。これを真っ先に取り上げるのは「作ってみる編その1『最初はLEDピカー!』」で使用する部品だからというどうでもいい理由からです(^-^;。

 発光ダイオードはLEDと略されます。これは「Light Emitting Diode」の頭文字を取ったものです。最近は「LED電球は省電力」という謳い文句で白熱電球に変わる電球として認知されるようになりました。信号機はもう大分LEDに変わったような気もします。他にもPCの電源ランプやら大型モニターの色素子やら、なんだか実は世の中鬼のように使われているLED。でも、んじゃいったい何なのかと問われると「んー、ちっさい電球?」くらいの認識しかありません(私は(^-^;)。そこで、LEDについて色々調べてみました。



@ だいおーど?

 LEDのLはライト、Eは発光する、んでDはダイオードのDです。ダイオードって何だろうという所からスタートですね。

 Wikipedia(ダイオード)によると、ダイオードというのは「電流を一方方向にしか流さない電子素子だ」とあります。なるほど、例えば小学校の時の工作などでつかっていたいわゆる「豆電球(ソケット付き)」は、乾電池の両端にその線をどちらの方向につけてもぴかーっと点きました。これは豆電球が電流をどちらの方向でも流せるから出来る事です。一方ダイオードは電流の流れが一通なので、反対方向には電流が(殆ど)流れない。面白い電子素子です。

 ダイオードの回路図表記はこんな感じです:

黒塗りの三角形が電流の通る方向を示しています。電流が入る側はアノード(anode、陽極)、出る側はカソード(cathode、負極)と呼ばれています。今のダイオードは「半導体ダイオード」というものだそうです。詳しい事はWikipediaまで(^-^;。ちなみに、塗りつぶさなくても良いそうです。へぇ〜。

 アノード側に正電圧、下ノード側に負電圧をかける、つまり良く流れる方向に電流を流す事を「順方向バイアス」と言います。この逆は「逆方向バイアス」。で、順方向バイアスは銅線のごとく無条件に電流をバンバン流してくれるわけでは無く、実はある程度の電圧が無いと電流は流れません。その電圧を「順方向電圧降下」と言います。電流を流すのに一定の電圧がいると言う事は「ダイオードは抵抗になる」という事です。その抵抗力が順方向と逆方向で極端に違うのがダイオードの特徴という事ですね。

 順方向に電流を流す時、ダイオードを構成する半導体の性質によってそこから「光」や「熱」が放出されます。その光版が「発光ダイオード」というわけです。



A 発光ダイオード

 順方向に電流を流した時に光るダイオードが発光ダイオード(LED)。それがなぜ光るかは半導体の難しい性質を理解する必要があって良く分かりませんでしたので(^-^;、ここでは触れない事にします。発光ダイオードの回路図表記はこうです:

ダイオードの記号に2本の外に出ている矢印があるのが発光ダイオードの記号の特徴です。光がピカーっと出ているイメージかな。紛らわしいのですが、この矢印が反対方向を向いている記号があります:

これは発光ダイオードと違い「光が入ると電流が流れだすダイオード」で「フォトダイオード(photo diode)」という別のダイオードです。光センサーで使われているそうです。これもまた楽しそうな電子素子です(^-^)。



B 発光ダイオードのスペック

 発光ダイオードはその半導体の性質から順方向であってもある程度電圧をかけないと電流が流れない物でした。つまり抵抗です。では、発光ダイオードにすげー電圧をかけるとどうなるか?発光ダイオードの中にある半導体が一定の抵抗だとしたら(ここは良くしりません(^-^;)、オームの法則(V=ΩA)から凄い電流が流れる事になります。これは危険な臭いがしますよね(^-^;。扱う発光ダイオードがどういう範囲で使用可能なのかをちゃんと認識できるのが大切ですね。

 発光ダイオードには沢山の種類がありますが、どの発光ダイオードにもスペックがあります。ここで秋月電子の「高輝度5mm白色LED OSW54K5B61A 10cd60度 (10個入)」に掲載されているスペックを見てみましょう:

・本体:ウォータークリアー(無色透明)
・直径:5mm
・発光色:白色
・VF:3.1V(標準)(@30mA)
・最大電流:50mA
・輝度:10000mcd(標準)(@30mA)
・色温度:10000K(標準値)(@30mA)
・色度座標:x=0.27、y=0.28(標準値)(30mA)
・半減角:60度(広角)(@30mA)
・逆耐圧:5VDC
・PD:108mW

○ 本体

 発光ダイオードは素で色々な色を出せるのが特徴ですが、本体に色を塗っているタイプもあります。無色透明は文字通りそういう色を塗っていないタイプのものです。

○ 直径

 電球なので色々なサイズがありますが、秋月電子のカタログを見ると「3mm」と「5mm」が主流のようです。4.8mmとか8mmというのも見受けられます。カタログを眺める限りですが、直径と順方向電圧に何か関係があるわけでは無さそうです。

○ 発光色

 発光ダイオードはその素材によって色々な波長の光を出せるのだそうです。可視光はもちろんですが赤外線や紫外線に近い光も可能とか。ただその波長範囲はとても狭いので、白色光のように色々な波長の光がまんべんなく入っているような光を出すのは逆に苦手。現在の白色LEDは様々に工夫してそう見せています。なるほどなと思ったのが、特定の波長を出せるので、美術館のように紫外線を嫌うような照明に使えるそうです。

○ VF(順方向電圧降下)

 順方向電圧降下は英語でforward voltage dropなのでVFはここからきているのかな?順方向に電流を流すのにこの電圧が必要ですよという意味です。その電圧をかけた時に流れる電流はこの発光ダイオードだと平均で30mAくらいのようです。

○ 最大電流

 この数値がとても大切。これ以上の電流を流すと危険という事です。これは特に注意しないといけない指標ですね。

○輝度

 輝度(luminance)は明るさの度合いの指標です。明るさを表す物には光度とか照度とか他にもありますが、輝度は光っている面積を考慮しているのが特徴。単位はcd/m2(カンデラ/m2)。カンデラは…うわ、すっげ基準が意味不明(^-^;。んー、シャワーに例えると、ノズルからぶひゃーっと出ている水の単位時間当たり総量がカンデラかな。で、そのシャワーのノズルの1穴から出ている量が輝度に相当するというイメージです。

○ 色温度

 色温度は色を表す数値の一つで、真っ黒なものが熱を持った時に見える色(波長)だそうです。例えば1000度くらいの温度だと赤色ですが、これが6000度くらいだと真っ白になります。さらに温度が上がると今度は青色になるそうです。単位はK(ケルビン)。10000Kだと白色を通り越して青っぽく見える色温度になります。ちなみに色温度が10000Kであるこの商品の写真はこちらです。あー、確かに青っぽい(^-^)

○ 色度座標

 色を表す他の表現の一つで、Wikipediaの色空間によると色を2次元で表現した時のXY座標の事だそうです。どういう表現かはこちら。これのX軸が0.27、Y軸が0.28の辺りの色という事です。色温度にあったように、この発光ダイオードは白というよりは少し青っぽい色なんですね。

○ 半減角

 発光ダイオードを正面から見た時の明るさを100%とした時、その明るさが半分になる角度を指します。この角度が小さい程要は「指向性」があると言えます。発光ダイオードは指向性が高い電球だと良く言われますが、一つの電球でちゃんと比べるならこの半減角が一つの指標になりますね。

○ 逆耐圧

 逆方向バイアス(カソード側からアノード側に電圧をかける)の耐えられる電圧を指します。上のスペックだと5VDC(直流5V)なので、順方向と大して変わりません。発光ダイオードは一般に逆耐圧が低いので普通のダイオードのように電流の流れを整える目的で使うには難しい素子です。普通のダイオードは調べてみると30Vとか1000Vとか桁が違います。

○ PD

 これは「Allowable Power Dissipation」で「許容損失」と言うそうです。dissipationは消耗とか消失という意味。その電子部品が性能を正しく発揮できる最大の消費電力を指します。消費電力なので単位はW(ワット)。電流と電圧を掛けた値ですね。例えば上のLEDはPDが108mWなので、例えば定格5Vくらいかけて最大電流50mA近くになったとすると、250mWくらいなので許容損失を上回っているのでやべー、っとなるわけです。その発光ダイオードに何ボルト掛けたら何アンペア流れるかは、スペック表がちゃんとあるそうです。



○ 発光ダイオードを並列につなぐと危険?

 Wikipedia(発光ダイオード)を眺めていて気になる記述を見つけました。「使用に必要な知識」の中に「並列接続してはいけない」というのがあります。並列接続をすると順方向電圧降下が低いLEDに電流が集中して、そのLEDが最悪破壊されてしまう事があるとのこと。ほぉーこれは怖い…。直接の説明はこちらのPDFにあります(GaN系LEDの並列接続回路について)が、自分なりに理由を確認してみます。

 まず、並列回路というのは、電気の通り道が2通り以上ある回路部分を言います:

 上の回路は途中で二股に分かれています。この分かれている所が並列回路です。並列回路では各分岐した回路の双方に同じ電圧がかかります。つまり上下の抵抗の両端には同じ5Vの電圧がかかるわけです。なので、上の回路の抵抗には0.5A、下には1Aの電流が流れます(オームの法則)。抵抗が少ない下の回路の方がより多くの電流が流れる結果となりました。

 さて、発光ダイオードは部品ごとにその性質にばらつきがあります。同じ電流が流れるようにしたとして、平均で順方向電圧降下が3.1Vだとしても、実際には3.0Vだったり3.5Vだったりするわけです。つまり、発光ダイオードごとに抵抗力が異なっています。上と同じ状況が発光ダイオードを並列につないだ時も起こります。上のシンプルな回路図のように、すべての並列発光ダイオードに等しい電圧が掛かる場合、下図のように各発光ダイオードに流れる電流量が一意に決まってしまいます:

Bが暗いなぁと電源の電圧を上げたりすると、Aの発光ダイオードに最大電流を超える電流が流れ破壊されてしまいます。これを防ぐには同じような性質の発光ダイオードにするか、各ダイオードに適正な電圧がかかるように抵抗器で調節するなど工夫が必要です。そう考えると、信号機とか大きなLED電光板とか、沢山のLEDをいっぺんに光らせているのって、実は結構神経使ってるんだなぁと改めて思うのでした。