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作ってみる編

その1 最初はLEDピカー!


 兎にも角にも何か作らない事にはスキルも向上しない訳でして、最初は電球を光らせる事から始めてみました。と言っても乾電池と豆電球を買ってきて電池の両端に豆電球のコードを付けて「わーい」…じゃあんまりなので(^-^;、ちゃんと基板に取り付けてみます。



@ 必要な物

 電子工作はパーツを組み合わせて回路を作って遊ぶものですから、パーツを手に入れないければなりません。電子部品と言えば秋月電子さんが有名で、基本的にはこちらから部品を購入していこうと思っています。(以下、部品のリンク先は断りがなければ秋月電子さんのページになります)


○ 電球(LED)


3mmのLED、ちっさくてかわいい(^-^)

 小学生の頃の電球というと「豆電球」でした。もちろん今回も豆電球でも良いのですが、電子工作で電球を点けるならやっぱり「LED」のイメージです。LED、最近は「LED電球」とかで目にしますよね。んじゃ、LEDって何だろうって思う訳で、調べます:

LED:
Wikipedia(発光ダイオード)によると、LEDはLight Emitting Diodeの略。Lightはもちろん「光」、Emittingは「放射する、発する」そしてDiodeは「ダイオード」。ダイオードは「電流を一方向のみに流す整流素子」。つまり、LEDは光るダイオード。豆電球と大きく違うのが「流せる電流が一方通行だ」という事。

 なるほど、LEDは豆電球と違って電流を流す方向が決まっているのですな。これは注意が必要ですね。

 秋月電子の「LED」を見ると、「うわぁ…(※引いてます(^-^;)」と思うほど沢山ある。用途が様々なので当然なんですが選択に迷います。今回は、とりあえず光れば良いので、「パソコンの電源オンな感じが良いなぁ」という適当な理由で緑色のLEDにしてみます。で、カタログを見ると「3mm」と「5mm」がある。大きさの違い以外としては電圧が色々あるようです。2.0Vとか2.1V、3.1V…。これ乾電池1本の電圧だと足りなくね?LEDって意外と電圧がいる電球なのですね。んー、では乾電池2本で光らせられる3mmの緑色のLEDである「3mm 緑色LED EBG3402S (20個入)」にします。スペックには順方向電圧降下が2.1Vとあります。…順方向電圧降下、んー…、

電圧降下:
Wikipedia(電圧降下)によると、電圧降下とは回路に電流を流した時に回路内の抵抗の両端に電位差(電圧)が生じる事。とても大切な事として、閉じた回路にある部品の電圧降下の総和は元の電源の電圧(起電圧)に等しいというのがある(キルヒホッフの法則)。

 ほう…キルヒホッフの法則…。この法則からすると、乾電池2本の電圧は3.0V、対してLED1つの電圧は2.1Vなので、乾電池2本に繋げると過電圧になります。という事は、回路内に残りの0.9Vを消費する抵抗を入れないとまずそうです。


○ 抵抗


1/8Wカーボン抵抗。実際は横幅3mmくらい。すっごく小さい(^-^;

 回路内の電圧を調節するのに抵抗(resistor)が必要です。なんですが、これもまた泣きそうな程種類が沢山あります。ここから「0.9V分電圧降下を生じさせる抵抗」ってどう選ぶのか?…あんれ?良く考えてみると電圧というのは「電流を流す力」だから、どれだけ抵抗があっても電流が凄まじく流れたら電圧は高い値になる。沢山の電流が無理に流れると回路が壊れる(発熱して短絡するとか燃えるとか(^-^;)から、流せる電流量って決まってるはず。これを決めてるのは…LED君か!

 購入しようと考えている3mm 緑色LED EBG3402S (20個入)のスペックに「標準電流:20mA」というのがありました。なるほど、つまり今回の回路は20mAくらいの電流が流れるように調整すれば良いのか。欲しい電圧降下は0.9Vだから、有名なオームの法則(V=ΩA)から、0.9/0.02 = 45Ωくらいの抵抗を選ば良いと!

 で、抵抗のカタログをじーっと眺めていると「47Ω」という規格がいくつか見受けられました:

セメント抵抗 47Ω 10W
カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/4W47Ω (100本入)
カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/6W47Ω (100本入)
カーボン抵抗 1/8W47Ω 黄紫黒金 100本入
金属皮膜抵抗 1/4W47Ω (100本入)

抵抗の種類に「セメント」「カーボン」「金属皮膜」の3種類があって、カーボン抵抗には「1/4W」「1/6W」「1/8W」という3種類があるようです:

抵抗の種類:
Wikipedia(抵抗器)によると、抵抗の元となる「抵抗体」には沢山の種類がある。上のセメント、カーボン、金属皮膜はその一員。セメント抵抗は大電力用(2〜20W)用、カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗)は中電力向けで耐熱性が良好、金属皮膜抵抗は高精度抵抗器で値が張る。
抵抗のワット数:
抵抗にあるワット数はその抵抗に流せる電流量と抵抗の両端に掛かる電圧の許容量を表す。

一応どれも47Ωなので、かかるワット数を計算してみます。先程20mAな回路で、抵抗には0.9Vかかるという事だったので、両方を掛け算して0.02×0.9=0.018。これはおよそ1/50Wなので大変低電力です(^-^)。つまり上のどの抵抗でも基本はOK。ただ、セメント抵抗は余裕あり過ぎでしかもバカ高い(1本50円)。金属皮膜の高精度もここではいらない。となるとカーボン抵抗の1/8Wで決まりです。ちなみに、100本入って100円…激安(^-^;;;;。


○ 基板

 回路は基板上に部品を並べて結線して作ります。基板には製品の種類がたーくさんありますが、今回はLEDと抵抗を付けるくらいなので、小さな物で良いのかなと思いました。安い物順に並べて出てきたのが「片面ガラス・ユニバーサル基板 Cタイプ(72x48mm) めっき仕上げ」とか「片面ガラス・薄型ユニバーサル基板Cタイプ(72x48mm)めっき仕上げ(日本製)」など。製品名にある「片面ガラス」という用語をちょっと調べてみます:

片面ガラス:
Wikipedia(プリント基板)によると、基板には硬くて曲がらない「リジット基板」、薄くて曲げられる「フレキシブル基板」、その両方の性質がある「リジットフレキシブル基板」というのがあり、そのリジット基板を作る素材の一つがガラス繊維。ガラス繊維にエポキシ樹脂を含ませて固めた物がガラスコンポジット基板。基板の一つの穴について、両面にハンダメッキがあるのが「両面」、片方だけなのが「片面」。

 基板の両方に回路を作る(ハンダ付けする)のであれば両面、片方で良ければ片面という事です。2.54mmなんて中途半端だなぁーなんて思ったら0.1インチでした。納得。今回は片面で十分なので片面を選択。

○ 電池ケース

 電源は電池から取る事にします。電池も色々種類がありますが、ごく普通に単3電池にしておきます。で、回路なので電池に線を繋ぐ必要があるわけです。小学校の時は豆電球から伸びているリード線と乾電池の端子をテープでペッと貼り付けてましたが、さすがにそれは無いので(^-^;、体裁を整える事にします。「単三電池ケース」に色々なケースがありました。今回はLEDの電圧から電池2本が必要なで、この中の「電池ボックス 単3×2本(リード線・耳付)」を選びました。スイッチ付きの電池ボックスもあったのですが、マンガン電池用らしくそれは断念。

○ スイッチ


これもミニミニでかわいいスイッチ(^-^)

 電池ケースにスイッチが無いので、回路内にスイッチを取りつけます。スイッチも色々ありますが、今回は基板に直接取り付けるタイプのお安くてシンプルな「基板用トグルスイッチ3P(スリム)」にしました。

 トグルスイッチは「2つの状態になるスイッチ」なので、実は回路を繋ぐ足が3つあります:

上図のように2が基点となって、1側もしくは3側と繋がります。スイッチとして使う場合は1か3のどちらかだけと回路を繋ぐ事になります。



○ 電線

 基板に配置したパーツ同士を結ぶのは電線です。製品の基板はいわゆる「プリント基板」というすでに配線がプリントされている物で綺麗なのですが、自前で作る基板は何らかの金属線で繋いであげる必要があります。豆電球のソケットについている「リード線(ビニール線)」はその一つですね。色々なサイトの基板をみると、電子部品の余った足を使っている人も多いようです。確かに、部品の足は細くてまっすぐでハンダとの相性も良さそうです。

 とりあえず、ビニール線は購入しておこうと思います。カタログの中で一番径が細い「耐熱電子ワイヤー 2m×7色 外径1.22mm(UL3265 AWG24)」にします。

 さて、これでLEDを光らせるのに必要な部品が揃いました。



A 回路図

 今回のLEDピカーの回路図はこんな感じです:

 これに従って早速を作ってみます。



B 回路を作るぞー!

 では実際に回路を組んでみますが、まず素材の特性チェックから。試しに電池2本の起電力を計ってみましょう:

3.255Vでした。元気な電池です(^-^)。次に抵抗を計ってみます:

 このテスターの特性なのか少しフラフラゆれるのですが、製品規格通り大体47Ω前後という所でした。この抵抗に仮に上の電圧を掛けると、3.255V/47=0.0693A、約70mAの電流が流れるはずです。ここからこの抵抗が消費する電力量は3.255×0.0693=0.226W≒1/5Wと計算できます。この抵抗の定格ワット数は1/8Wなのでオーバー!直接つなげると危ないですね。

 LEDにテスターをあれこれと付けて見たのですが音沙汰が無い…。そういうもんなのかな?まぁいいや(^-^;

 では回路製作開始です。最初にユニバーサル基板にLEDを取りつけます。電球を裏面(配線の反対側)になるようにユニバーサル基板の穴に通します:

 LEDには「アノード(正極)」と「カソード(負極)」があります。足が長い方がアノードで、短い方がカソード。電流はアノードからカノードに向かっては低い電圧で流れますが(順電流)、逆だと高い電圧を掛けないと流れません。順電流を流すとピカーっと光ります。

 この状態で裏返しにして、根元にハンダを付けます:


最初は下手でもいいんです…いいんですっ!

 次に抵抗です。抵抗は4メモリ分の間隔に通すつもりで折り曲げた後穴に通します。通したら裏でも折り曲げてしまって:

ハンダ付けします。

 地味に手間なのがスイッチでした。逆さにすると動くしズレるし不安定でとてもハンダ付けできないので、がさつではありますがいったんテープで固定し、空き缶を適当に切って台にし裏返すと安定しました:


雑…(^-^;

 これでLEDと抵抗とスイッチを基板に固定したので、後ろに跳び出ている余分な線をニッパでパチパチと切り落としてしまいます。この時、LEDのアノードとカソードが区別できるように切っておいた方が良いかもしれません:

 見た目もすっきりした所で最後に電源から伸びるビニール線を取り付けます。ビニール線の先にハンダを予め付けておいて結線するのがコツです。そうしないと腕がもう1本欲しくなってしまうんですwww。ハンダごてと、ハンダ線で両手が埋まっている中で、ケーブルを固定する腕も欲しくなるんです。ビニール線の先にハンダを付けておけば、それを端子にハンダごてで宛がうだけで結線できます。

 電池の出っ張った方(赤い線の方)を「+」に、凹んだ方から伸びる黒い線がマイナス極なので上の「-」に付けます。電流をいきなり流さないように、スイッチは断線しておくように気を付けて…:

よしできた!これでスイッチを入れれば光るはず!!

一発きたー!美しく光っておりますぅ(^-^)/

 という事で、無事LEDがピカーっと光る回路が出来あがりました。小さな一歩だけど、ゼロからですから大きな進展です。で、これで終わらないのがマルペケ流。次に実際に電圧などを計って理屈通りになっているか検査してみましょう。



C 検査してみよう

 回路にはLED、抵抗の2つの電子素子があります。理屈では抵抗には0.9V、LEDには2.1Vの電圧がかかっているはずです。本当にそうなっているか検査してみると勉強になりますよね。

 で、いざテスターを宛がってみたのですが、うっ、腕が足りねぇ(^-^;;;;。テスターの端子2本で両手が塞がるのに、どうやって写真を取ればいいんだぁ(爆)

 苦心して取ったのがこちら:

これは47Ωの抵抗の両端にテスターを宛がった結果です。予定では0.9Vだったのですが1.087Vと高く出ました。これは電池の起電力が影響してるかな。確か今回の電池は3.2Vくらいありました。LEDの定格電圧が2.1Vくらいだとすると、引き算して1.1V。おー、およそ計算通りですね。こういうの感動します(^-^)

 LEDの抵抗も測ってみます:


左手で箸のようにつまみつつ右手でカメラをパシャw

お〜〜本当に2.1Vくらいなんですなぁ〜。抵抗のと足すとジャスト3.2Vでした。

 電子工作楽しいなぁ。実際に目にする事はできないけど、電子の挙動が織りなす自然の摂理を垣間見ている感じがします。で、次に何やるか考えてみたのですが、やはりトランジスタを外す訳にはいかないのです。トランジスタは人類の偉大な発見で、今日のあらゆる電化製品を動かしている大元ですから。トランジスタは「増幅器」なので、小さな電流を大きな電流に置換できます。その辺りで面白そうなものを考えて見る事にします。