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作ってみる編

その2 フォトトランジスタで赤外線LEDの光をキャッチしてみる


 TVのリモコンなどでボタンをぽちっと押すと、遠い所にある機器が動き出す。そういう遠隔操作というのはラジコンもそうですが男の子の心を掴むんですよねぇ(^-^)。ごたぶに漏れず、私もセンサーには魅力を感じています。

 多くのリモコンはどこかしらにLEDが付いています。LEDはその1でも使用したようにピカーっと光る印象がありますが、リモコンに付いているLEDはボタンを押しても特に光っているようには見えません。ここで使用されているLEDは「赤外線LED」でして、目には見えない波長の光を放っているんです。一方、電子機器はその目に見えない赤外線を感受しています。ここには「フォトトランジスタ」などの光を感知できるセンサーが付いています。そういう光を使って電気的に遮断した状態で信号を伝達し合う事をフォトトカプラと言うそうです(Wikipediaはこちら)。

 赤外線LEDとフォトトランジスタ。これらは電子パーツ屋さんで安価に購入する事が出来ます。今回フォトトランジスタを始めとする各パーツは電子パーツの通販を行っているRSコンポーネンツで購入しました。国内に在庫があれば最短1営業日で発送してもらえます。海外のパーツなども豊富に取り揃えており、フォトトランジスタも沢山取り揃えてくれています

 今回は赤外線LEDが発した光をフォトトランジスタでキャッチして受信側のLEDをピカーっと光らせてみます。



@ フォトトランジスタ

 フォトトランジスタは光を感じる事ができるセンサーです。光には目に見える眩しい可視光線も含まれますが、今回扱うフォトトランジスタは目には見えないけど光っている「赤外線」を感知できるタイプです。これは電子機器のリモコンや自動ドアなど光が直接目に映らない方が良い所で多用されています。

 今回購入したのは「シャープ 26 °, 赤外線 フォトトランジスタ, スルーホール実装」というフォトトランジスタ:

 大きさは全長22mm。頭の所に小さなレンズが付いていて、ここで赤外線を感受します。レンズの大きさは1.6mm!極小です。この製品は受信角度にやや指向性があるようです。「指向性」というのは光を感受できる範囲の事で、指向性が高くなる程受信できる範囲(角度)が狭くなります。センサーの用途によっては正面に近い角度以外で反応されると困る事があります。もちろん広範囲の赤外線を受けられるパーツもあります。フォトトランジスタを含めセンサーは用途に適した指向性を持ったタイプが各種用意されているのが普通です。

 フォトトランジスタは「トランジスタ」と名前がついているように、トランジスタと似たような挙動をします。トランジスタには「ベース」「コレクタ」「エミッタ」という3つの端子が付いていて、ベースに極微量な電流を流すとその大きさを何百倍かした大電流をコレクタからエミッタに流す事が出来ます。これは「増幅効果」と呼ばれます。フォトトランジスタはベースに流す電流を外から受信した赤外線から作り出します。つまり、赤外線を受信するとコレクタからエミッタに大きな電流を流すことが出来るんです。
 今回のパーツは足の長さが左右で異なっています。足の短い方がコレクタ(+側)、長い方がエミッタ(−側)のようです。ただ物によってはこれが逆のパーツもあるため、必ずデータシートでどちらがコレクタでどっちがエミッタかを確認して下さい。

 ちなみに今回購入したフォトトランジスタの単価は35円くらい。ホント電子パーツはお安くて有難い(^-^;



A 赤外線LED

 赤外線LEDはピカーっと光るLEDの仲間です。ただ人の目で見える可視光ではなく、目では見えない赤外線を発します。ですから赤外線LEDに電気を通して光らせても見た目には何も起きていないように見えます。

 使い方はその1で試したLEDと基本的に同じです。今回購入した「オスラム 860Nm 赤外線LED, 5 mm 砲弾型」は860nmという波長の赤外線を発する事ができるLEDです:

 こちらは頭の部分が5mmと先のフォトトランジスタのパーツよりも一回り大きく存在感があります。もちろんもっと小さな赤外線LEDもあります。赤外線LEDは大よそフォトトランジスタなどのセンサーのトリガーとして使用する訳ですが、LEDによっては別の波長の赤外線を発するものもあります。受けるフォトトランジスタ側も受信可能な波長が決まっていますので、使用するLEDとフォトトランジスタのデータシートを良く見て正しい波長の物を選択しましょう。



B 赤外線LEDをピカー(?)っと点ける

 では物作りスタート(^-^)。今回は送信側(赤外線LED)と受信側(フォトトランジスタ)を別々に作り、送信側で光らせた赤外線LEDを受信側で受け、それをトリガーとして受信側の可視光LEDを光らせたいと思います。間に何も無い(ように見える)のに受信側が反応する。ロマンですね〜(^-^)

 送信側は赤外線LEDに電気を通すだけ、いわゆるLチカです。ただ豆電球と違いLEDは内部抵抗がほぼ無く、電池に直付けすると大電流が流れてしまいます。LEDは流して良い電流の大きさが製品で決まっているため、その製品に合った電流量になるよう抵抗で調整してあげる必要があります。

 取り敢えずオスラム 860Nm 赤外線LED, 5 mm 砲弾型のスペック表を見てみましょう:

 オスラム(OSRAM)はドイツの会社なのでドイツ語記載がありますが、英語もあるので意味は読み取れますす。LEDを扱う時にまずチェックするのがForward voltage(順電圧)。これはLEDが光った時にかかる電圧です。上には2つの順電圧が記載されていますが、違いは電流(IF)の大きさ及びパルス幅(Tp)です。LEDは単純に電気を流し続ける点灯方法(スタティック駆動と言うそうです)と物凄い短時間で明滅させる点灯方法(パルス駆動)があり、上の2つはいずれもパルス駆動を指しています。上の方は「20msでON/OFFを繰り返す回路に繋いで100mAの電流を流すと1.5Vの圧がかかるよ」という意味です。

 パルス駆動にするとより強い電流を流せるため、見た目に強烈な光を放つ事が出来ます。実際は非常に短時間でON/OFFしていてLEDの光源への負荷が分散されているため高い電流を流せるんです。パルス幅の内光っている時間の割合をデューティ比と言います。この比率を下げると光が弱まって見えます。これによりLEDの明るさををデューティー比で調節できるんです。ただパルス発信器を作るのは結構めんどうくさいので、今回は電流流しっぱなしのスタティック駆動で行きます。
 データシートにはスタティック駆動での順電圧が記載されていませんでした。まぁそういう使い方を想定していないのかもしれませんが、予想では100mA以下の電流なら壊れはしないかなと(^-^;。なので70mA位流すことを想定してみます。順電圧は多分1.5Vくらいだと思われます。

 電源電圧は乾電池2本分=3Vとしておきましょうか。LEDに1.5Vの電圧をかけて70mAの電流を流すために、間に抵抗をはさんで調整します:

 直流回路では流れる電流は同じで、電圧は分配されます。よって抵抗側の電圧と電流はそれぞれ1.5Vと70mAになります。抵抗値(Ω)は電圧を電流で割り算すれば良い(オームの法則)ので、1.5(V) / 0.07(A) = 21.4(Ω)となります。ちょっと中途半端な値なのでまぁ20Ωの抵抗で良いでしょう。

 上の回路図をブレッドボードに再現したのがこちらになります:

 赤い線がプラス側です。ブレッドボード内のつながりを薄い青線で示してあります。スイッチはブレッドボード上に刺さらなかったので省略しています。

 一応これで光っているはずなのですが…。見えないと本当に点灯しているか不安ですね。赤外線LEDが点灯しているかどうかを確認する簡便な方法として「デジタルカメラで撮影する」というのがあります。デジタルカメラのイメージセンサ(受けた光を電子信号に変換するセンサー)は赤外線の光にも反応するため、そこが光って映るんです。しかし、最近のデジカメは赤外線フィルタが入っているため、映らない物もあります。TVのリモコン等で映るのを確認してみて下さい。

 で、上の回路をONにしてデジカメで映るかなぁと思ったのですが、出力が弱いのか結局良くわかりませんでした(^-^;。ただ、後で「あっ」と気が付いたのですが、実はこの赤外線LED、よーく見ると赤色に弱く光っているのがわかりました。確認できるようにしてあるのかな?

 回路をユニバーサル基板に半田付けし、スイッチをONにして実際点灯した物を撮影したのがこちら:

 赤く光ってます(^-^)。上から見ないとまず分からない程の弱い光です。これで送信側はOK。



C フォトトランジスタで赤外線受信器を作る

 続いて受信器側の設計です。フォトトランジスタは「トランジスタ」なので、ベースに電流が流れるとコレクタ-エミッタ間にその何倍かの大電流を流す事ができます。ただ普通のトランジスタと違い、フォトトランジスタにはベースに当たる線が無く、代わりに赤外線の光が当たると極々少量の電流が発生します。それをトリガーとしてコレクタ-エミッタ間にもっと大きな電流を流せる…という素子です。

 ただ、フォトトランジスタのコレクタ-エミッタ間にはあまり大きな電流を流せません(数mA程度)。これではあまり仕事をさせられないので、この流れた電流をさらにトリガーとしてもっと大電流を流せるトランジスタのベースに流します。

 今回はフォトトランジスタに赤外線が当たったら可視光なLEDがピカーっと光る回路を作ってみる事にします。まずはLEDが光る部分の回路を考えます。Bの回路と基本は全く一緒ですが、スイッチの部分がトランジスタに置き換わります。また今回購入した可視光LED 緑 Kingbright Round シリーズ 568 nm, 5 mmは20mA順電流で順電圧が2.2Vというスペックなので、間に挟む抵抗は下の回路図のようになります:

 次にトランジスタのベース側からエミッタに抜ける電流の大きさを考えます。今回購入したON Semiconductor NPN トランジスタ, 40 V, 600 mA, 3-Pin TO-92のスペックは次の通りです:

 hFEというのは「直流電流増幅率」というもので、ベースに流した電流の増幅概算値を表します。例えば上の表でVCE(コレクタ-エミッタ間電圧)が10V、コレクタ電流が1mAの時、50倍の感度がある事がわかります。今の回路は3Vと電圧は小さいのですが、流す電流は20mAです。よって、大よそですが50倍〜100倍の感度で電流が増幅されそうだと読みます。よってベース側に流す電流は50分の1程度、すなわち 20mA / 50 = 0.4mAで十分となります。

 上の回路のベース部分にはフォトトランジスタのエミッタ側を接続します。コミット側は電源に繋がります。この時電流が0.4mAになる必要がありますので、間に抵抗を挟んで調整します。ではフォトトランジスタのスペックを見てみます:

 Collector currentはコレクタからエミッタに流れる電流量の範囲を示しています。最小で0.25mA、最大で3mAのようです。やはりフォトトランジスタはあまり大きな電流を流せないようですね。ただ目標の0.4mAはこの間に含まれているのでOK。Dark currentは真っ暗な時に漏れ流れてしまう電流量です。コレクタ-エミッタ間に20Vの電圧をかけても最大100nAという非常に小さい電流量が漏れるのみなので大丈夫でしょう。で、次のCollector-emitter saturation voltage(コレクタ-エミッタ間飽和電圧)が今欲しい情報です。条件(Conditions)を見ると、0.5mAの電流を流し、センサーに10mW/cm2という光の強さを与えると最大で0.4Vの電圧降下が生じるようです。今は0.4mAを流す予定なので、まぁほぼほぼこのくらいの電圧降下だろうと考えます。今電源電圧は3Vなので、抵抗側には2.6V (3V-0.4V)の電圧がかかると計算できます。つまり、必要な抵抗値は 2.6(V) / 0.4mA = 6500(Ω) = 6.5k(Ω) となります:

 これで受信器側の回路設計も出来ました。あとはこの通りに組むだけです:

 プラス側から二股に分かれています。右側がフォトトランジスタに繋がっています。6.5kΩという抵抗が無かったので2本直列にして調整しています。二股のもう一方がトランジスタのコレクタ側に繋がって、フォトトランジスタからの信号(ベースに微弱電流が流れる)を待っています。エミッタ側には緑LEDが結線しています。

 では、ここにBで作った赤外線発信器を早速近付けてみましょう!

 すげー光ったぁ〜〜〜。どうやらうまく動いているようです(^-^)。という事で、無事フォトトランジスタによる赤外線受信が無事出来ました。ちなみに、写真からは伝わらないかもしれませんが、本人むっちゃ心躍ってますww。

 このフォトトランジスタ、かかり遠くからでもしっかり受信できて、ざっと試した所2m以上離れても問題なく光ってくれました。指向性が高い赤外線LEDと受信器同士の効能といった所でしょうか。送信側のLEDを筒状の物で包んであげれば指向性はさらに高くなるので、頑張れば光線銃みたいなおもちゃも作れるかも。


 赤外線は黒色に良く吸収され、白色では反射する性質があります。これを用いると白黒の判別が出来ます。この性質を用いたのが黒い線上を走る自動走行自動車(ライントレースカー)です。車体の下に赤外線LEDを設置し赤外線を放射します。同様に車体の底にフォトトランジスタなどの受信センサーを装着しておきます。地面が黒色の場合赤外線は大部分が吸収されるためセンサーは働きませんが、白い部分だと反射した赤外線をキャッチするためセンサーが働き、上の回路のようにコレクタ-エミッタ間に電流が流れます。「電流が流れる=経路から外れている」と判断して対処すれば、車は黒い線上を走るようになります。実際は「フォトリフレクター」という今回の赤外線LEDとフォトトランジスタが組み合わさったパーツを用いるようです。

 フォトトランジスタを用いるとアイデア次第で色々と面白い事ができそうですね。パーツを知ると楽しさも増えるのが電子工作の醍醐味です(^-^)