ホームテクニクビートを録音しよ〜!<音楽著作権について

報告編
その3 音楽著作権について

 

@ 音楽著作権法の解釈

 今回の計画で録音した曲は、最終的にCD-Rに焼いて楽しむことになります。個人的に楽しむ分にこれは問題ない行為です。一方で、色々なWebを覗きますと非常に多くの方がテクニクビートのサントラを望んでおられるようです。私もそれがきっかけでこの計画を立ち上げ実行してきたわけで、その気持ちはもの凄く分かります。ただ、さすがにホームページに曲をアップするわけには行きません(容量もありませんし・・・)。でも、やはり折角作ったものですから、憧れる方にはぜひ聞いて頂きたいというのが本望というもの。

 そこで立ちはだかるのが「音楽著作権法」です。この問題だけは避けて通れません。ここではこの法律について詳しく調べ、どのようにして今回の録音物を提供する事が可能であるかを考察していきたいと思います。尚、私IKDは法律家ではありません。以下の文章は私の勝手な解釈であることをご了承下さい。


 今回の手法を回りくどく言うと「個人がプレーしたゲームの1シーンをA/Dコンバータで一度劣化した状態で録音し、名前の知れている人に報酬なしで複製物を渡す」という行為に当たると思われます。これが音楽著作権法に触れるか否かを見極める肝は、「ゲームをプレーすること」の解釈にあります。

 ゲームをすること自体は音楽著作権が定めるところの「実演」に相当し、それを行っている当方のコンピュータが「実演者」に相当すると考えます(第二条四)。実演者は商用および報酬を得ない目的であれば著作物を実演する権利を持っています(第三十八条)。ストリートミュージシャンが堂々と駅前で著作権のある音楽を奏でられるのもこの権利があるからです(ですから、小銭を入れる空き缶を置くとだめかもしれません)。実演者はその実演を録音する権利を有しています(第九十一条)。さらに、実演者は録音物を譲渡する権利を持っています(第九十五条の二)(ただし、実演者が録音して譲渡したものをさらに譲渡するのは認められていません)。ということで、ゲームのプレーを実演と解釈すれば、その録音や譲渡は認められていると考えても差し支えないと考えられます。

 ただ、最近JASRACでは「私的録音録画補償金制度」という課金制度を導入し法律に加えました。これは、劣化の無いデジタルな録音媒体や機器による録音に課金する制度でして、課金の代替としてそれら機器の購入価格に補償金を含める事で著作権者に還元するとしています(著作権法第30条2項、第104条の4等)。今回の計画は最終的にデジタルな録音媒体に録音することを考えており、これがちょっと引っかかっているかもと危惧しました。そこで、詳しく見てみます。

 まず、以下の著作権法第三十条第2項をご覧下さい。

第三十条2
 私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない

 物凄い読みにくいので訳しますと、
「私的使用を目的として、政令で定めるデジタル録音機器に、これまた政令で定めるデジタル記憶媒体に録音や録画を行うものは著作者に補償金を支払うこと」
と言っています。政令で定めるデジタル録音機器とは、録音機能付きMDプレーヤーやCD-Rドライブの事で(iPodなどのHDD録音やメモリ録音機器については2005.11現在法整備を申請中との事)、政令で定めるデジタル記憶媒体とはそれら録音機器で使用可能なメディアのことです。そういう物を用いて著作物を私的利用目的で複製するときには、補償金を著作者に支払わなければなりません。「そんなの払ってない!」のですが、実はすでに支払われています。そのからくりは次の第百四条の四に書いてあります。

(私的録音録画補償金の支払の特例)
第百四条四第3項
第一項の規定による支払の請求を受けて私的録音録画補償金が支払われた特定機器により同項の規定による支払の請求を受けて私的録音録画補償金が支払われた特定記録媒体に私的録音又は私的録画を行う者は、第三十条第二項の規定にかかわらず、当該私的録音又は私的録画を行うに当たり、私的録音録画補償金を支払うことを要しない。ただし、当該特定機器又は特定記録媒体が前項の規定により私的録音録画補償金の返還を受けたものであるときは、この限りでない。

 訳しますと、
「私的録音補償金がすでに含まれている録音機器と録音媒体で録音した場合、補償金は支払わなくても良い。」
と言っています。つまり、私的に録音するときには、その録音媒体に含まれている補償金をもって第三十条に規定する相当な額の補償金を支払ったことになるということです。

 これは、私的に音楽を録音する事を束縛しないようにする特例処置であり、個人が著作物をオリジナルCDを作成しても音楽著作権に反せず自由に聞くことができています。ましてや著作物を自分が実演した音についてデジタルな記憶媒体に録音するのは、支払わなくても良い補償金をわざわざ支払っている行為にすら当たると思われます。以上から、

「ゲームを行うことが音楽著作権法で言う実演に相当するならば、実演者は政令の定めるデジタル媒体に録音し、且つ実演者が他人にそれを譲渡する権利を有するため、この行為は音楽著作権に触れない」

と判断できるのではないでしょうか?

 もちろん「ゲームをプレーすることは実演に当たらない」となった場合はこの判断は誤りとなりますが、音楽著作権法をこう解釈することで、皆さんがテクニクビートのサントラを持つことが出来るかもしれないことは確かです。

 ということで、まだ曲は1曲も出来てはいませんが、全て出来た時には皆さんに譲渡できる形を取るつもりです。その時には、皆さんは政令の定める記憶媒体を購入し、実演者に優しいように送料のかからない形式でメディアを「寄与」という形でお渡し頂くと、実演したゲームの音が入ったCDが無償でプレゼントされるかもしれません(笑)。まぁ、これがどうなるかは私個人の判断だけでは決められません。